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悲しい想い出は 忘れなくていいよ。 大切にしまっていたらいい。 前に進む勇気が 君にはあるはずだから。。
童話「勇気」
2018-07-11 Wed 00:00
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。



「勇気」



ホネストという町がありました。
小さな田舎町、
そこには善良で争いごとが嫌いな、住民ばかりが住んでいました。


みんなの自慢は、黄金の稲の穂と、困った時に助けてくれる神様と、
小さな田舎町を横断して走る、電車だった。


一年に一度だけ願い事を叶えてもらう、そのひとつが電車だった。
電車には、命があった。




プラットホームに 電車の発車を告げるベルが鳴った


「すまんのお 今夜は誰も乗らんようじゃ 気をつけて行っておくれ。」
駅員はそう語りかけた 電車に。


「なぁに、稲刈りに忙しくて、みんな疲れて寝ているんですよ、きっと」
そう、電車は答えた。


「そうじゃのお、今年は豊作じゃ、ありがたいことじゃ」
「はい、もう少ししたら、お米を都会にいっぱい運ぶ、私も大変だぁ」と
電車は、少しも困ったようではなく、嬉しそうに話した。





電車は、忙しかった。
時々、急病人がでたら、救急車の役目もして、特別列車として走った。
だから、子供電車が今年の願い事として、生まれたのだ。


「まだ夜は子供電車は走れんのかのお?」
「はい、まだ足は遅いし、慣れていないし、怖がりだし・・」
それだけは、すこし困ったようだった。



「じゃ、ご苦労じゃが、最終電車、行って来てくれるかのぉ」
「はい、安全運転で行って来ます」



電車は、ピーと、長い汽笛を鳴らし、走り出した。



しばらく走ると、そこは踏み切り
用心しよう、そう思った時。


踏み切りの上に、倒れているご老人が居る!



「あ、ブレーキが間に合わない!!!」



このままでは あの人を傷つけてしまう
そうだ 誰もお客さんが乗っていないんだ


とっさに考えた答えは。

じゃ、私が線路を離れたら、良いんだ!!


お父さん電車は 自分が傷つくのを覚悟で
線路から外れて 田んぼの中に突っ込んだ。



ギギーギー ドドド ドスーン



町のみんなは、大きな音に驚いて家から飛び出しました。
そして、しばらくして、やっと電車の事故だと気づきました。


「うーん」
命は助かったようです。
でも、ガラスも割れ、あちこちが傷つき、動けません。



「大丈夫かい?」
町のみんなは、声をかけてくれました。
「私は、いいんです、お年よりは?倒れていた人は?」



「あぁ、大丈夫じゃ、つまづいた時、頭を打ったようじゃ、命は心配なしじゃ」
「ああ良かった、本当に良かった。」


「助かった老人は、『すまんすまん』と言って、泣いておる」
「いいんです、命を助けることが出来て、良かった」





子供電車は、夜が怖くてお父さん電車の傍には来れませんでした。
やっと、朝になって、お父さん電車の傍まで。
でも、どうすることも出来ません、助ける力がないんです。



町のみんなから愛され、親しまれた電車、
その電車が走れないと、都会へ米も運べない、病人も助からない、本当に困る。




お父さん電車は、話しかけました。



「私の代わりに走っておくれ、線路も無事だったから」
「もう走りたくない、だって、怖いんだもの・・・」


「いいかい おまえは 何のために生まれてきたの?」
「・・・・町のみんなの役に立つため?」


「そうだよ、それが分かっているなら、走ってくれないかい?」
「・・・怖いんだ、だれか線路に倒れていたら、僕おとうさんみたいに・・」


「田んぼに飛び込めないのかい?」
「うん・・・。」


「命はひとつだけど、この命は、自分だけのものじゃ、ないんだよ。」
「命って、自分だけのものじゃないの?」


「ほら、みてごらん、お父さんの体を、あちこち継ぎはぎだらけだろ?」
「うん、右は青で左は赤で天井は黄色だ、不思議だな って 思ってたの」


「これはね、ポンコツとして捨てられたものたちから、集めて作られたからだよ」
「僕も、そうなの?」


「そう、だからたくさんのポンコツさんたちの命も、願いも、体に入っているんだよ」
「でも、やっぱり怖いよ、走るのは・・夜は真っ暗だし・・」


「・・・・。」
「・・・・・・・・。」





ずっと話をして、とうとう夜になりました・・
でも、子供電車は聞き入れてくれません。
お父さんは、困りました、自分の怪我は神様にも、治せないのです。



神様が願いを叶えてあげられるは、一年に一度だけ。
そして、今年は、すこし古くなったお父さん電車のために、
子供電車を願い、叶えてもらっていたから。






町のみんなも、困ったと顔をあわせては、ため息をつくばかりでした。



その時です。
あの、踏み切りで倒れていた老人が、ポツリと。


「わしが悪いんじゃ、すまん事をしたの、だから神様にお願いをして来る」


みんなはびっくりしました。
一年に一度の願い事の約束を破って、頼みに行くと願いが叶っても
命を無くす掟があったからです。


「駄目じゃ!」
「それは、やめておくれ」
「俺だって、そこで倒れていたかもしれん、お前だけが悪いんじゃない」


みんな口々に行くことを止めました、しかし・・老人は


「ありがとうのう、みんな。一度はおとうさん電車に助けてもらった命じゃ
恩返しをしても、ええじゃえろ・・。」



止めるのも聞かず、老人はひとり、神様の住む山に向かいました。





やっと山の麓まで辿り着き、山に入ろうとした時でした。


「老人よ、願いは年にいちどだけじゃ、命はいらないのか?」
「はい、今から山に入り、どうか願いを聞いてほしくて・・」


と、途中まで話した時。


「すぐこの場所から、立ち去れ!」
「は、はい・・あの、願いを・・」


「立ち去れ!」
「・・・はい・・」




やはり駄目だったのだと、二度目の願いは聞いてもらえないのだと・・
老人は願いも言えずに、とぼとぼと町へ帰っていった。



子供電車は、真っ暗な線路を見つめていました。





ずっと、考えていました。



僕が走らなければ、みんなが困るんだ・・困るんだ・・






僕の命は、僕だけの命じゃないんだ、みんなを助けるための命なんだ・・


車輪が動きました、一回り、そして、恐る恐る走り出そうと思った時でした・・。










「子供電車よ、お前にひとつ私から贈り物をしよう」




神様の声がしました



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見ると、びっくりです。



真っ暗闇の中、線路が・・線路が・・・光っているのです。




「あ、光ってる、遠くまで見える、すごいや!」



また神様の声が聞こえました。


「命を捨てても町のために子供電車に走ってもらおうとした老人の勇気

そして、自分が傷ついても老人を助けようとした、おとうさん電車の勇気

怖かった真っ暗な夜に、みんなのために走り出そうとした子供電車の勇気」




子供電車は、一生懸命に聞いていました。




「この光は勇気だ、お前の心の中に眠っていた勇気だ

お前は、みんなのために、勇気を振り絞って動き出そうとした

これが贈り物だ、受け取れ」





お父さん電車が見守る中、ゆっくりと走り出した子供電車


「やった!」と、声を上げようとした時





周りの畑から、歓声が上がりました。




町のみんなが来ていたのです。


「良かった」

「万歳」

「ありがとう」



口々に声をあげ、泣き出す人も・・






老人がひとり・・ポツンと不思議そうに・・


「願いが叶ったのにまだ、命が残っている?」と言いました




それを聞いた神様は・・



「それはな・・

お前は麓までは来たが、山には入っておらん

そして、私に願いを頼んだわけではない

実は・・

お節介な”風”が、”風の便り”を届けてくれたのじゃ

だから何のために来るのが分かったから

追い返したのだ。

命を助けようとした”風のお節介”を無駄にせんようにな・・・」と。






線路の上から声がした


大きな声で、子供電車の声が・・。




「お父さん、僕がんばるよ、勇気をもらったから、命をもらったから!


僕は走るよ、みんなのために」





それを聞いた、お父さん電車は涙が止まらなくなりました。




「ありがとう、ありがとう・・」と、


何度も何度も、ただそれだけを言って・・。。







読み終えたら 僕の手から 小さな茶色の本 消えていた。

図書室の外を見ると、もう夜だった。



遠くの田舎の町の単線は、今夜も光っているのだろう。

子供電車とおとうさん電車が、みんなの笑顔と夢と希望を乗せて

雨の日も風の日も休まずに・・

これからは、電車の乗る時には、そっと私も

「ありがとう」と言おう。



当たり前じゃないんだ、電車が毎日動くことが・・

電車を守り、線路を守り、みんなの安全を守る人たちのためにも

心からそう思えたから・・



届くかな?ふたりの電車さんたちに・・

日本全国、一生懸命に働いてくれている電車さん達に・・

「ありがとう」の、言葉が・・





作品を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。






2017/07/09
今回の西日本豪雨災害により
尊い命を亡くされた方に心より、ご冥福を祈りたいと思います。
またたくさんの行方不明になられている方々、
無事に発見、救助されることを心中より願っています。

更に、今も尚、救助を待つ方たちが、少しでも早く危険な状態から
全ての人が脱出、救援されることを願っています。
更に不眠不休で、救難、救助に携わって頂いている全ての方々に、
誠の感謝の心とありがとうございますの言葉を伝えたいと思います。雫。。


2018/07/09追記
この童話は2012/09/25日に投稿したものです。
尚、タイトルを「神様と人々が創った電車」から
「勇気」に変更しました。
動画はそのまま、「勇気100%」を使っています。

週1回、毎週水曜日の0時に物語を更新しているのですが・・。
今回・・あるブログの方から
また、優しい詩をお願いしますね。 という依頼を受けて、
正直、迷ってしまいました。

というのは、今回は悲しい恋愛詩を予定していたので、
どうしようと・・。
しかし、その恋愛詩を替えようとも思っていました。
西日本豪雨災害の被害があまりも大きすぎることでした。

どういう詩を更新すればいいのか・・。

昨夜、下書きで検索したら、この童話はブログに出したつもりが、
何かの間違いで下書きのままになっていました。

以前投稿した東日本大震災の一年後、「勇気100%」の動画と一緒に投稿したこの作品、
今回もその意味では、不思議な悲しい偶然を思い起こさせてくれます。

優しい詩と書いて頂いて・・これにしようと決めました。
今は、すこしでも勇気を感じてもらえる、心優しい作品に変更して、良かったと思っています。
変更のきっかけを作って下さってありがとうござます。雫。。


追記
この物語は、写真ブログ「目指せ!ゆる鉄!
管理者  happyヒロ様のブログで・・
一枚の写真(物語の二枚目)を見た時に・・
何故か惹かれ、光る線路?・・その場で構想が浮かび
控えめな?私にしては、初めてと言う暴挙!?に出ました。

訪問は、ほんの数度、なのに、「写真を使わせてください」と、我侭を。
写真を使わせてもらったのは、今までリンクをしていたブログ様だけ。
今までも、写真ブログは好きで、良く訪問、そして物語が浮かんだ写真も・・
実はあるのですが・・そのままにしていました。

何故、今回だけ・・
やはり、最初に見た、
トワイライトエクスプレス1号車 1番
の写真と案内記事に人柄が出ていた。
近寄っても良い様な、ww 優しさが感じられたからですね、きっと。
これを機会に、リンクを結びたいと思っています。
みなさまもぜひ、こちらで素敵な鉄道写真を。

最初、町の名前を「ポプラ」にしていました。
もしも、同じ名前があれば、問題に?
そこで、honestから、ホネストにしました。
英語で正直な,実直な; 誠実な,信頼できる 真実・公正・率直
その意味からです。雫。。


この作品で使用している写真は「目指せ!ゆる鉄!」さまからお借りしています。
素敵な写真がいっぱいです、ぜひ訪問しくださいね。
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