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悲しい想い出は 忘れなくていいよ。 大切にしまっていたらいい。 前に進む勇気が 君にはあるはずだから。。
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童話「雷さまを泣かせた少女」
2017-05-19 Fri 00:00
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。




「雷さまを泣かせた少女」




あぜ道の枯れ草が、そよぐ風に揺れていた。

乾いた土が、茶色の土ぼこりとなり、ぽつんと座っている老婆に吹きつけた。

淋しそうに空を見上げている。



「どげんしたと、ばっちゃん?」

「あぁ、今日も雨が降らんなぁと思うてな」



「うん降らんね、もうずっと降らんね」

「そうじゃ、もう二ヶ月も降らん、このままじゃったら、この土地を出ていかにゃならんかもなぁ」



「どうして、行かんといけんの?」

「米がでけん、米も野菜もみいんな倒れてしまいよる。

同じように人もみいんな倒れてしまうじゃろうなぁ」



「雨が降ったらいいの?」

「そうじゃ、恵みの雨が降ればなぁ・・」



「じゃうちが降らしたげる、うちの名前、めぐみ、じゃもんね」

「あぁ、優しい子じゃのお、めぐみは」  



「うち、神社に行って 神様にお願いしてくるけんね、ばっちゃん雨降るけえ、心配せんと待つとってね」

「あぁ待つとるよ、ほんに 気持ちだけでもありがたいのぉ」・・。




めぐみは一生懸命に走った。


まだ九才、初めて一人で。


昼でも薄暗く、怖いはずの神社に。


いつもはとても怖がりな娘なのに。


神社に一人で、行くなんて、普段では考えられないことだった。


自分でも、その勇気に気づいていなかった。


ばっちゃんを助けたくて、守りたくて、その一心で、走った。。




やっと着いた。


ばっちゃんがいつもそうしているように、鐘を鳴らしてお願いをした。



「ねぇ神様、お願いじやけん、雨降らしておくれ、

ばっちゃんを助けて、うち何でも言うこと聞くさけえ。」



突然大きな声が聞こえた。



「ほんとうか?!」



「え?誰?」



「何でも言うことを聞くというのは、本当かと聞いておるんじゃ」



後を振り向くと白髪の老人が立っていた。



不思議なことに足元には白い雲が。



雲に乗って宙に浮かんでいる。




「神様け?」



「そうじゃ、何でも言う事を聞くんじゃな!?」



優しそうな目をしている きっと 雨を降らしてくれると・・




「はい、何でも聞きます」




「雨を降らすのは、雷に頼まなければいけない、

しかし、二度と地上へ帰れないかも知れないぞ、それでも良いのか?」・・。




・・大好きなばっちゃんの 淋しそうな顔が目に浮かんだ・・



勇気を振り絞って言った。




「はい、行きます、雷さまの所へ。」



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白い雲に乗った、ふわりと浮かんだ、と思ったら、もう空の上だった。



見る見る黒い雲に近づいて行った、そこが雷が住む所だった。




めぐみは恐る恐る黒い雲の上に降りた。

神様の雲と全く違って、ごつごつと固かった。




「おーい、雷や、今日は頼みがあって来たんじゃ。」




雷さまが雲の奥から出てきた。




「何じゃ神様、お、それは誰じゃ?」



不思議そうに、めぐみを見た。



それはそれは、体は大きく、太く、背中に大きな太鼓を乗せている。



雷さまじゃ、怖そうだけど、目が優しそうだ。


そう思ったら、もう怖くなくなっていた。



「この子の願いを叶えてあげたくて、連れてきたのじゃ。」


来る途中、神様に聞かされたのだ。

雷にも娘がいた、可哀想に九才で死んだのだと。

だから、同い年のめぐみの願いなら、聞いてくれるだろうと。



ただ気に入られたら、地上に帰れないことも・・。


それを聞いても、雷さまの所へ、行きたいと・・。




「雷さまお願いです、雨を降らせてください」



両手を合わせ、必死に。




「お前、わしが怖くないのか?」


「はい、怖くないです。」




雷は、一目で気に入った。




「雨を降らせてやっても良いが、ひとつ条件がある。

俺のなぞなぞを答えられなかったら、ここに残る、それでも良いか?」



めぐみは二人を見た。



泣きそうになったが、ばっちゃんの嬉しそうな顔を見たくて、うなずいた。



神様が言った。



「わしが判定してやろう」と。



雷は意地悪な問題を出した。





「この世に増えるものと、減るものがある、但し金とか生き物では無い、答えは?」




答えられるはずが無いと雷は笑い、

神様は、めぐみのことを思い泣き顔になった。





めぐみは考えた。




でも、答えがわからない。




もう、だめだと思い、二人の顔を見て。





「わかった!」と、大きな声を出した。





驚いた二人が答えを待った。






「増えるものは、幸せ。減るものは、悲しさ。」と。





神様が言った。





「正解じゃ!雷、お前の負けじゃ」





ふたりの笑顔と泣き顔がヒントだった。





笑顔が多くなると幸せが増え、涙を流すと悲しみが減る。






「この娘は帰ってしまうのか?わしの所で一緒に暮らさないのか?」





あぁぁ・・




雷さまが、大声で泣き出した。




「泣くのは、もうよさんか!地上が水浸しになるではないか。」



同い年の子を亡くしたと聞いていためぐみは、


泣き出した雷さまが可哀想になって・・。




めぐみが言った。




「このまま、ここに居てもいいんよ、でも、ばっちゃんが泣くじゃろうな」と。



それを聞いた雷が。



・・ありがとう、お前の気持ちはよう分かった。



「帰れ地上へ!お前が居たら、雲の上が狭うてわしの寝るところが無いわい」




と、ますます泣きながら言った。



神様が言った。



「お前たちは、空と地と遠く離れていても心は一つ、優しさで繋がっている本当の親子のようじゃのう」と・・。








気がつくと、めぐみは一人、神社に立っていた。



まるで、何も変わっていなかったかのように・・。





「雷さま、神様ありがとう」




そう独り言を言うと、走り出した。




黄金の穂を実らせた稲のあぜ道を、全速力で、ばっちゃんの元へ・・。




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読み終えたら、僕の手から、小さな茶色の本、消えていた。


図書室の外を見ると、青空に白い雲が浮かんでいた。

もしかしたら、神様と少女が乗っているのではと・・
淋しがっている雷さまに
少女が神様に頼んで会いに行っているのではと・・

そういえば ここ数日雨が降っていない
雷さまの機嫌がいいのは、きっとあの子が来るのを待っているからだろうと
そう思った。

図書館の外に出ると
暑い日差しが、今日はやけに眩しかった。


作品を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。





2017/05/17追記
「金色野原」
この曲が大好きで、家で良く聴いています。
昔から
雨にまつわる、雷さまの物語を書こうと思っていました。
曲のイメージと思いが重なって、やっと書くことができました。雫。。

この作品で使用している写真は画像素材
写真素材 フォトライブラリー」さまからお借りしています。
素敵な写真がいっぱいです、ぜひ訪問してくださいね
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