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悲しい想い出は 忘れなくていいよ。 大切にしまっていたらいい。 前に進む勇気が 君にはあるはずだから。。
童話「約束」
2008-01-29 Tue 20:11
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「約束」(童話・短編・完結)


青々とした葉っぱ 隆々とした樹が一本 森の片隅にいました

カモシカが一頭 その幹の傍で 空を眺めていました

ずっと ずっと 眺めていました


葉っぱは 気になって カモシカに聞きました


「カモシカさん どうして 空ばかり 見ているの?」

「★☆ びっくりしたよ あぁ 葉っぱさんなんだね こんにちは」


「こんにちは ごめんね 急に話しかけて」

「うん いいよ 空 蒼くて 好きなんだ 」


「そっかぁ だから 空 見ていたんだね」

声をかけてもらって うれしそうに でも すこし 淋しそうで


「カモシカさん もしかしたら ひとりぼっち?」

「あぁ そうなの みんなと はぐれてしまったんだ」


「そっかぁ ぼくも 森から離れて ここに ずっと ひとりぽっちさ」


カモシカは 悲しそうな顔をして 樹を見ていました

そして

「ねぇ これから一緒に ここで 暮らしても 良い?」


「え 本当! うれしいな ぼくもずっと ひとりぼっちだったから 傍にいてくれる?」


「うん ぼくは きみを害虫から守ってあげるよ」

「うん じゃ ぼくは 背が高いから 悪い奴が来たら教えてあげるね」


「うん じゃ 約束するね」

「うん 約束だよ」


それから カモシカは ずっと その樹の幹で いつも一緒に くっついて 暮らしました

青々とした葉っぱは うれしくて オレンジ色になったり 赤くなったりして 喜びました


まいにち まいにち 一緒でした

季節は 夏から 秋 そして 寒さの厳しい 冬が来ました・・

そして 恐れていた 雪が降ってきました


カモシカは 震えています 

葉っぱは 自分の体を削って カモシカのために 葉っぱの毛布をあげました



カサカサ 


カモシカの上に たくさんの 葉っぱの毛布が 降り注ぎました

カモシカは うれしかった でも 樹が 見る見るうちに細くなっていくのを見て

言いました

「葉っぱさん ありがとう でも もう いいよ これでじゅうぶんだから」


葉っぱが言いました

「きみは ぼくの たった ひとりの ともだちだから」


カモシカは うれしくて 涙を流しました

「ありがとう ぼくのために でも ぼくは きみに まだ なにもしてあげていないよ」


「そんなことないよ ずっと いっしょ それだけで うれしいんだよ」

「ごめんね じゃ このまま ずっと いっしょだよ」



「うん」

葉っぱも その言葉を聞いて うれしくて 涙を流しました





ある日のこと

あんなに 蒼かった 空が 見る見る白くなっていきました
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「ねぇ カモシカさん 空 色が白く変わったよ」

「うん 気がついていたんだ 空 見るの 好きだから」


「きっと 吹雪が来るよ 森の中に入って 君は森に逃げて」

「だめだよ きみは ともだち ずっと いっしょだよ」


「だめ だめ 吹雪は きみにあげた ぼくの葉っぱを 吹き飛ばしてしまうよ」

それでも カモシカは 言う事を聞きません


恐れていた 吹雪がきました 

真っ白な 雪が 風を舞って ふたりに 降りそそぎます

ビューゥ ビューゥ

声も届かないような 吹雪でした・・



「逃げて!森の中に!」


それでも カモシカは 樹の傍から 離れません


葉っぱにも カモシカが震えているのが わかりました

でも 傍を離れません


「逃げて お願いだから 逃げて!」

葉っぱは 叫びました



カモシカが 答えました

「約束 まもるんだ ずっと いっしょ って 」



「もう そんな 約束は いいから きみだけでも 逃げて」

「だめだよ きみには 足がない ぼくだけ 逃げたく無いよ 」



葉っぱが言いました

「ともだちだろ!」

だから ぼくの言う事を 聞いて 逃げて と


カモシカが叫びました

「ともだちだから いっしょに 居たいんだよ くっついてると 温かいよ」



葉っぱは 気づきました

ふたりが 温めあっていることに

カモシカは 僕の蔭にすこしかくれて でも 僕を温めてくれている

ぼくも カモシカを 守っているんだ 


約束

ずっと

いっしょ


葉っぱは 思いました

もし このまま ぼくが死んでも カモシカくんだけは 守ってあげたいと

カモシカくんも きっと おなじこと 考えていると・・

すーっと 意識が無くなっていきます

木の幹の根元 の 温かさ その事を 感じながら・・


















白く雪化粧





静かな 朝 蒼い空 空気がピーンと 



気がついた 葉っぱが カモシカを探しました


居た!


樹の幹に いつものように 横たわって 寝ていました


少し違うのは 葉っぱがあげた毛布は無く 白い雪が覆っていました





「カモシカさん!!」

葉っぱは大きな声で 叫びました










白い雪の塊が むっくり 動きました

カモシカです

生きていたのです


「おはよう」

寒そうに カモシカが 言いました


「あぁ おはよう」

葉っぱは うれしくて 涙を流しました


カモシカが言いました

「どうして 泣いているの?」


葉っぱは

「吹雪で 寒くて 死んじゃったのかな?と 思ったんだ」


「大丈夫だよ きみがくれた 葉っぱの毛布が 僕を守ってくれたから」


見ると 白い雪の下には 葉っぱの毛布が ちゃんと そこに ありました

それを見て また 葉っぱは泣きました


カモシカが 言いました

「ぼくをまもってくれて ありがとう 『約束』 これからも ずっと いっしょだよ」


葉っぱは 泣きながら言いました

「うん ぼくも守ってくれて ありがとう『約束』だよ ずっと ずっと いっしょだよ」



ふたりは 蒼く澄んだ空から注ぎ込まれる温かな光りに


キラキラ照らされていました・・







昔々

森のはずれの 大きな樹の傍に こんなお話がありました

それからも ふたりは 助け合い 励ましあって

カモシカと葉っぱは 

仲良く 暮らしました

ずっと
 
ずっと 

いっしょでした


作品を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。



この作品で使用している写真はフリー画像素材「EyesPic」さまからお借りしています。
素敵な写真がいっぱいです、ぜひ訪問しくださいね。 雫
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