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悲しい想い出は 忘れなくていいよ。 大切にしまっていたらいい。 前に進む勇気が 君にはあるはずだから。。
童話「ともだち」
2018-08-01 Wed 00:00
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図書室へ行った。  
小さな茶色の本があった。
題名があった 「雫詩」 って。

その中のひとつに目がとまった。




「ともだち」




ちゅん、雀が、泣いた
大きな樹が、その鳴き声を聞いていた 。


「どうしたの?すずめさん?」
「あ、ぼくのこと? ・・・なんでも ないよ」

「そう、なんでも なかったらいいんだけれど」
「うん 、大丈夫だよ・・」


大きな樹は考えました
すずめが、足か翼を痛めているのでは?と、考えたからです 。


ちいさな動物は、自分の弱みを言いません。
嘘ではなく、生きるための知恵だからです。


樹はこの森にずっと生きてきて、力つきて、命を失くしていく者たちを見てきました。
だから、声をかけたのです 。


「よかったら、ぼくの幹の肩に乗らない?」
「うん、乗りたいんだけど・・足と翼、傷めたんだ。」


「やっぱり、そうかなって、思ったんだ。」
「え、分かってたの。」


「うん、その声悲しそうだったから、ね。」
「ばれちゃってたんだ、嘘、ついてごめんね。」


「ううん、いいんだよ、生きていくための、嘘なんだろ? しかたないよ。」
「ありがとう、声かけてくれて。」


「いいことある、ぼくの樹の幹の下に、ちいさな穴があるんだ、そこで暮らす?」
「え、ほんと?どこ、どこなの?」


「ほら、その、大きな石の横だよ。」
「あ、ほんどだ、ある。ぼくの大きさに、ちょうどいいや。」


「うん、そこで暮らしたらいいよ。 ずっといつまでも、いいよ。」
「ありがとう。」


すずめは、傷めた足を、すこし引きずりながら・・ 
樹の幹の下にある、小さな穴に入りました。


「どう?」
「うん、ぴったりだよ、温かいね。」


「アハハ、うん、ぼくもひとりだから、きみの温かさが嬉しいよ。」
「そうなの?こんなちっぽけな、ぼくの体でも?」


「そうだよ、きみは小さいけれど、とても温かい心を、持っているから。」
「うん、嬉しい、あ、虫がいるよ。この虫は、樹を食べる虫だよ。」


「え、そうなの 、怖いよ 困った。」
「心配ないよ、ぼくが追い払ってあげるよ。」


「お願い、助けてくれる?」
「うん任せてね、ぼくに 『はい虫さん 、外へ出るんだよ、いい?』」


虫は、今からこの樹を食べようとしていたのに、
すずめが来たので、慌ててみんな逃げて行きました 。


「アハハ、みんなどこかへ行っちゃったよ。」
「ほんと、助かった。きみは、命の恩人だね。」


「ううん、樹さんこそ。ぼくの命の恩人だよ。」
「これからも助けてね、ぼくもきみを温めるからね。」


「うん、一緒だよ、いつもね。」
「うん、いっしょだね。これからは、ふたり、一緒だね。」



寒い冬、今は二月、傷ついたすずめが生きていくには、
大変な季節でした 。


傷ついた足、飛べない翼では、食べるものも見つける事が、 出来ません。
だんだん、だんだん、やせ細っていきました 。


「?すずめさん、どうしたの?」
「うん、少しだけ、眠たいんだ」


「うん? 声、元気がないよ?」
「わかる? もしかしたら、ぼく死んじゃうかも、しれない・・」


「そんなことないよ、大丈夫だよ。」
「ね、樹さん、ずっといっしょに住んでいるけれど、名前は?」


「ぼく? ぼくはね、桜 って、いうんだよ。」
「桜 って、春になると咲く、綺麗な花の名前だね。」


「そう、知ってたの?」
「うん、お父さんに教えてもらった、とっても綺麗だよ って。」



「春になって、もっと温かくなったら、すずめさんにに見せてあげるね。」
「うん、でも、もう、春まで、生きていないかもしれない」


「だめだよぼくの綺麗な桜を見てほしいよ、すずめさんに。」
「うん、でも、もう眠たいんだ。ずっとごはんも食べてないし。」



「みんなに、声をかけるよ。すずめさんのごはんを持ってきて って。」



桜の樹は、みんなに声をかけました 。
森の仲間が、桜の樹に寄って来ました。


同じすずめたちも来ました、そしてそっと桜の樹の幹の穴に、
ごはんを届けました。
すずめは少しずつ、元気になっていきました 。




でも、
寒い寒い冬、元気をなくして、起きることも、出来なくなりました。



「桜さん、ぼくね、長く生きられないと思うんだ。」
「なんで?すずめさん?」


「だって、足と、翼が、動かないんだよ」
「うん、大変だね、でもね、自分で動かしていれば、治るかも知れないよ。」


「でも、だめだと思う。」 
「やりもしないで、駄目だなんて・・」


弱虫だよ、と、言いかけてやめました 。


小さなすずめ、短い命。
桜の樹は、もう何十年も生きてきたから・・




桜は、思い出しました ・・




一生に一度だけ、神様にお願いをして、奇跡おこす事が出来ること。
でも・・自分の大切な夢や宝物を、消されてしまう、悲しい掟があることも・・


「ねぇ、もし、ぼくがきみに、奇跡を見せること出来たら、考えを直してくれる?」
「奇跡?って」


「花が咲くのは、いつ?」
「えぇ っと、春だよね。」


「うん、今、季節はなに?」
「いま?今は冬だよ、春はまだずっと先だよ。」



「じゃぼくが、冬の今、桜の花を咲かせること出来たら、生きること、空飛ぶこと、もう一度頑張ってみる?」
「アハ、無理だよ、今は冬だよ。」


「うん、もしも、桜の花が咲いたら・・」
「うん、頑張ってみるよ、奇跡を信じて。」


「じゃ、ぼくの、穴から出てきてくれる?」


すずめは、穴から足を引きずりながら出てきました。
寒い冬、 それも夜でした 。
凍えそうな、 寒さでした。


「じゃ見ていてね、すずめさん。」


桜は、空の神様向かって、祈りました。



お願いです、ぼくの大切な、小さなともだちの、体を治すために、 命を救うために・・
冬の今、奇跡をおこす力を与えてください。


奇跡を見たら、きっと、足も、翼も、自分の力で治すこと出来ます ・・
ぼくの、夢や宝物が、消えてししまってもいいから ・・・



ふっと、桜にだけ、聞こえてきました 。



「本当に良いのか?桜の夢、春が来ても、もう二度と桜を咲かすことが、出来なくなってもか?」



桜は考えました、自分が生きている一番大切な夢、宝物は・・ 
春になると桜の花を、咲かすことだからです。


みんなから、綺麗だね って、言ってもらえる ・・
桜の樹の、たったひとつの夢が、桜の花を、満開に咲かせることだから・・



静かに、言いました ・・


「はい、もし、これから一生、桜の花咲かせること、 出来なくなってもかまいません。

どうか、ともだちに、奇跡があることを教えたい。 自分の力を信じて、生きていて欲しいから・・」




「その願い、聞きとどけたり。

ゆめゆめ、忘れるではないぞ・・ 

二度と桜の花咲かすこと、出来なくなることも、忘れるでないぞ。」



桜悲しかった 、もう二度と花を咲かせることが、出来なくなる・・


でも願いを聞いてもらえる、そのことも嬉しくて ・・

樹を震わせながら、泣いた 。



何も知らないすずめは、急に桜の樹が泣いたので、びっくりした 。



「ねぇ、どうしたの?桜さん」。
「ううん、なんでもないよ。」



と、だけ言ったまま、また泣いていました・・
そして、泣くだけ泣いたら ・・


空に向かって 

「神様!」

と叫びました



そしてまた

「願い叶えたまえ!」

と叫びました



・・・すると・・・



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すずめが叫びました 。


「あ、咲いた、これが桜?桜の花?なの、凄い、凄く綺麗。」



すずめは、信じられませんでした 。
まだ見たことも無い花、桜・・
桜の花が、冬の今、咲いているのです 。



森の仲間も、気づきました。


あ、桜が ・・
桜が咲いている ・・
ほんとだ、本当に咲いている 。



すずめは、桜の美しさに泣いていました 。
そして、とてもひどい事、言った事、信じなかったこと・・。

桜に悪い事をしたと、 考えました。
すずめは静かに、言いました。


「桜さんごめんなさい、ぼくが悪かった。」



桜も、静かに言いました 。


「ううん、いいんだよ。きみは、ともだちだろ?だから」
「うん、ごめんなさい。もう痛いとか、空を飛べないとか言わない、もう、弱虫じゃない、ぼくは。」



すずめは、泣きました。
いっぱい、いっぱい、泣きました 。
そして痛む足、思いっきり動かしました 。


すると


あんなにも 痛かった足、動きます・・ 
まさか?

あんなにも、痛かった翼が、広がっていきます・・ 
「え?」


バサバサ、バサバサ、痛い。 
でも動きます、でも、まだ、飛ぶ事できません。 

でもその痛みをこらえて、足うごかして、痛みをこらえて、翼を広げて・・ 


バサバサ、なんどもなんども、動かしました 。



もうすぐ、朝に ・・


朝日が昇ってきました・・





バサバサ・・ 全身の力を振り絞りました 。



ふわり 、
すこし体浮きました 。


痛む足で、地面を蹴りました 。



「飛べ!」



ズン と、 空に向かって飛び立ちました !



「やったぁ!」
すずめ、叫びました・・

「すごい!できたね」
桜、叫びました・・



飛んだのです、 ズン と、空を。

真っ直ぐに、空に向かって、飛んだのです 。



一生懸命に飛びました、
もう少し、もう少し、桜さんの肩へ行くんだ。



そして、 とうとう・・
桜の肩に、乗りました 。


「ありがとう、桜さん。」
「やったね、すずめさん」


ふたりは一緒に、泣きました 。




・・・・・・・




春に、なりました 。




まわりの桜は、すこしずつ、蕾から、桜の花を咲かせていきます・・




でも、一本の桜の樹だけ、花が咲きません 。




すずめは、空を飛んでいる時、
仲間のすずめに、教えてもらいました 。


神様と桜、冬に桜を咲かす約束したから・・
その代わり、二度と桜を咲かすことが、できなくなったのだよと。


一生に一度だけ、神様にお願いをして、奇跡おこす事が出来ること ・・
でも・・自分の大切な夢や宝物を、消されてしまう悲しい掟があることも・・

神様に、奇跡、おこしてもらった桜は、もう二度と咲かないと。




・・・・・・



すずめ、空に向かって、神様にお願いしました。



「ぼくの、翼、折れてもいい、 ぼくの、足、曲がってもいい。

だから、桜さんが、また、ずっと桜の花を、咲かせることできるように・・ 

ぼくの夢や宝物、 空飛ぶことを、どうか奪ってください。」




空の上から、聞こえてきました・・・




「本当に、翼が、折れてもいいのだな? 足、曲がってもいいのだな?

二度と、空を飛ぶ事、出来なくなっても良いのだな!」



「はい、お願いします。もう二度と、飛べないと思っていた、空、飛べました 。

二度と、動かせないと思っていた、足、動きました、これは、みんな 、

桜さん、大切なともだちのおかげです。どうか、ぼくの願いを聞いて・・ 

桜さんが、これからもずっと、桜を咲かせることできるように、神様、もう一度奇跡を。」




勇気を振り絞ってって言いました、自分の命を助けてくれた、大切なともだち、桜のために・・





・・・・・長い沈黙の後、 声がきこえてきました・・・





「その願い、残念ながら、聞き届けるとは出来ない・・





すずめは、悲しくて,泣き出しました・・





・・ただひとつだけ、願いを叶えてやろう・・ 




自分の命をかけて願った、すずめのともだち思いに免じて・・

また、桜の花を咲かせること、出来るようにな・・ ハハハ

いいともだちを、もったものだな、ふたりとも。」





・・・・・・すずめ、今度は嬉し涙がいっぱいで、空、見えなくなってしまった・・





桜さんに、話したい、一番に、伝えたい。

真一文字に、桜さんのもとに飛びたちました・・





・・・・・




このあたりです 、


でも、 桜の樹が・・


いつも 、


一本だけ、 桜が咲いていない樹・・





ありません・・






ぜんぶ、 森の全て、 桜が、 満開です 。



だから、 分からなかった、 桜さんが・・どこに居るのかが・・




「やったぁ!!!」



やったぁ!!!」




ずずめは 叫びました・・



桜さんに、 花が咲いたんだ!



「あ、あの樹だ・・桜さんだ 間違いない!」




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その森のなかで、一番素敵に、桜の花、咲かせている樹・・


ともだちの桜の樹・・でした・・




桜の樹



満開の、桜の花を咲かせて、泣いていました・・
この桜を、咲かせてくれたのは、すずめ・・ 

ともだちがおこした、奇跡だと、分かったからです・・



・・桜には、神様の声が、聞こえたそうです・・



「いいともだちをもったな、桜、これからもずっと桜の花を咲かせて欲しいと頼んだ、すずめの願いを、叶える」 と・・



すずめは
満開の、桜の樹の肩にとまって・・
羽を休ませました・・



「ありがとう、すずめさん」
「うん、桜さん、桜の花、綺麗だよ、ぼく嬉しいよ」



ふたり、泣きました ・・
森の仲間も、泣きました・・

いいともだちをもったね、と、泣きました ・・
みんな、みんな、泣きました・・



・・・・・・・・



読み終えたら、僕の手から、小さな茶色の本、消えていた。

図書室の外を見ると、もう夜だった。


来春になって

大きな森のなかに、大きな桜の樹が一本。 

綺麗な桜の花を、いっぱい咲かせているはずです。

桜の樹のそばに、すずめがいたら、仲の良いふたりかも、しれません 。

どうか

桜の枝を、折ったり、すずめを、いじめたり、しないで下さい。

仲の良いふたり、桜とすずめ。 

大切な、ともだちとして、いつまでも、その森で、仲良く暮らせるように・・

見守ってあげてくださいね。雫。。




作品を最後まで読んで頂き、ありがとうございます。






201/07/29追記
今回も、写真と動画探しが大変でした。
写真は同じところから、三枚見つけてこなくてはいけない。

二枚揃っても、後一枚が見つからない、本当に困りました。
動画も、ともだちなどで探したのですが、ありません、これまた困りました。

最後まで困ったのは、動画でした、決めては変更、また変更。
最期は、ゆずさんを選ばせてもらいました。
ゆずさんたち、ふたりが、素晴らしい、ともだち、だったからです。

ただ、この曲はネットに3曲あったのですが、こちらを選ばせてもらいました。
演奏もシンプルで、二人が揃って立っている、ゆずさんらしいと、思ったからです。


昔々の話・・
自分の結婚式の時、仲人に、将来の夢はと聞かれて、即座に答えたのが「童話作家」でした。

その夢は叶わなかったのですが、このような形で、自作の童話を読んで貰えるのが、本当に嬉しいです。
いつも沢山のコメント、励ましの言葉、ありがとうございます、これからもどうぞよろしくお願い致します。雫。。


娘と孫も元気です、もう3か月、やっと会えました。
初めて会ったのに・・ぐっすり眠っていました。

起きてからは、良く笑う子で、愛嬌は抜群、娘と一緒でした。
膝にだっこ、ずっしりと重かったです、娘に じいじ と呼ばれました。

今度、記念写真を撮りに、写真館へ行こうと娘に誘われました、暑い中、何を着るのかと迷っています。
どちらにしても、やっと会えました、娘たちも元気で本当に良かった、それが一番で、それ以上は望むべくもありせん。

娘たちは8月初旬に帰ります、
今度会えるのはまた、ずっと先だと思います、来年?また孫は大きくなっているでしょう。
でも、LINEのビデオ通話でいつでも会えます、直接会えるのは、またの楽しみにしたいと思います。雫。。

この作品で使用している写真は画像素材
写真素材 フォトライブラリー」さまからお借りしています。
素敵な写真がいっぱいです、ぜひ訪問してくださいね
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